ある弁護士の独言(a lawyer’s soliloquy)

弁護士20年、人生ウン十年、少しお伝えしたいことがあり…

来る民法改正のうち、知っておいた方がよい5つの点

 民法という法律の債権法の部分が改正されます。
 ただ、既に判例などで示されている部分が殆どで、あんまり大きな影響はないかもしれません。
 それでも、(講習も受けてきましたので^^)実生活にかかわりそうな、かつ重要なポイントを5点ほどご紹介します。

 その前に、まず、いつから改正法が施行されるかですが、今後の国会審議などのスケジュールから、2018年(まだ3年先!)を目処で施行(実際に適用)されるだろうとのことです(適用される年月日も国会で決められます)。
 次に、いつの行為(法律行為、契約)について適用されるかですが、特に定めがおかれない限り、「法律不遡及の原則」から、法律が遡って適用されることはなく、改正法の施行日よりあとの行為(法律行為、契約)にのみ適用されます。
 なお、未だ、「民法(債権関係)の改正に関する要綱仮案」の段階ですが、上記のように閣議決定を経て、改正されることがほぼ確実ですので、「改正(法)」とさせていただきます。

1 短期消滅時効の廃止(消滅時効期間の統一)
  改正法では、従来あった飲み屋の債権(1年!)などの短期消滅時効が廃止され、消滅時効期間は、「権利行使できる時から10年」と「権利行使できると知った時から5年」の時効期間に統一される見込みです(後半は今回改めて追加された時効期間です。ちょっとわかりにくいですが、時効の完成を主張する側が、権利者が権利行使できると知っていたことを主張・立証できれば、5年で時効完成するということです)。
  ただ、ツケの効く飲み屋さんの場合、実際いつが「権利者が権利行使できる」時点と言えるかは、やや難しい問題がありますので、実際問題となった場合には、弁護士にご相談下さい。

2 法定利率は5%から3%へ引き下げ
  今回の改正では、法定利率を3%に引き下げ、その後3年ごとに1%刻みで見直す変動制、としています。
  これは、民法制定以来の5%の法定利率を現実の利回りに少しでも近づけようとするものです。
  ところで、「法定利率」というのは、当事者に定めのない場合に出てくるとされるのですが、貸金などでは実際は利率は定められているので、むしろ、大きな影響をうけるのは、契約関係のない不法行為の場合の利率、特に交通事故などで、死亡ないし重大な障害を負った、という場合です(ここでは、金利が低くなると通常とは逆にに被害者の権利が大きくなるということになります)。
  このとき、将来の労働喪失の損害額を出すのに、(細かい説明は省きますが)一時金を計算するのに、5%で計算するのと、3%で計算するのとでは、例えば、労働力喪失期間が20年の場合、12.4622 : 14.8775(ライプニッツ係数というので比較)、で約1.2倍増えます。
  私は、交通事故事件や医療事故事件の代理人として、以前ライプニッツ3%に基づく計算をして請求していましたが、この部分が認められたことはなく^^;しぶしぶ5%で計算してきましたが、ようやく、という気持ちです。

3 保証人の制限・保護
  今回の改正では、保証人に関しては、3点が重要と思います。
(1)個人根保証は、金額の枠(極度額)を定めないときは無効
(2)事業のための債務についての個人(根)保証は、その締結の前1か月以内に作成された公正証書で保証人となろうとする者が保証債務を履行する意思を表示していなければ無効
(3)事業のための債務についての個人(根)保証は、主たる債務者である団体の取締役等、支配社員等、事業に現に従事する主たる債務者の配偶者に限る

 ちょっとややこしくなってきました。
 上の(1)は、単に「保証する」ではダメで、「○○○円の限度で保証する」としなければいけないということです。
 上の(2)(3)は、事業のための融資を受ける際の個人保証の規定です。
 (2)は、1か月前以内に、公証人役場で、保証債務を履行する意思を表示して記録することが必要というものです(保証契約書自体を公正証書でする、ということではありません)。
 (3)は、保証人の範囲を制限するもので、これらにあたらない第三者は事業のための融資を受ける際の保証人とはなれない、とする規定です。

4 敷金は原則返還
  改正法は、敷金を「賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義し、「賃貸借が終了し、かつ、賃貸物の返還を受けたとき」は、「賃借人に対し、その受け取った敷金の額から賃貸借に基づいて生じた賃借人の賃貸人に対する金銭債務の額を控除した残額を返還しなければならない」として、敷金の返還義務を規定しています。
  さらに、改正法は、「賃借人は、賃借物を受け取った後に生じた損傷(通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く)がある場合において、賃貸借が終了したときは、その損傷を原状に回復する義務を負う。ただし、その損傷が賃借人の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない」として、原状回復義務について、「通常の使用及び収益によって生じた賃借物の損耗並びに賃借物の経年変化を除く」と既に最高裁判例で示されていた内容を明確に規定しました(過去記事の「賃貸借の敷金(保証金)はどれくらい返してもらえるの? 」もご参照)。

  なお、敷金についての、契約・法律行為をいつとみるかですが、これは元の賃貸借契約に基づいて返還請求権が発生するのですから、最初の賃貸借契約のときとみるべきでしょう(従って、上記の規定が適用されるのは、2018年のいつかと予定されている施行日のあとに賃貸借契約が締結された場合です。もっとも、それまででも、同旨の最高裁判決が適用されるので、違いはありませんが)。

5 「定型約款」について
  スマートフォンの契約や、インターネット取引でよく使われる「約款」(小さい字でギッシリ書かれていて、冊子になっていたり、インターネットの画面になっていて同意するにクリックする、アレです。)についても、改正法は、「定型約款」に限定した上で、いつくかの規定を置いています。
  まず、定型約款の定義として、「定型取引(ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。以下同じ。)において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体」として、従来「約款」とされていたものより狭い範囲に限って規制しようとしています(ああ、難しいですね。要するに、「定型性」の高いものですが、先の例に挙げた、スマートフォンや、インターネット上の不特定多数に向けた約款はこれにあたると思います)。
  そして、その「定型約款」について、不当条項や、変更の場合の規制が行われようとしています。
  また、この特定約款の条項については、消費者は、消費者契約法10条(消費者の利益を一方的に害する条項の無効とする規定)のどちらかを選んで主張できるとされています。

 以上、5つの点について概観させていただきました(約200の小項目、約40の大項目から選びました)。
 頭の片隅においていただければ、法律的な問題について、債権者・債務者のいずれかの立場に立った場合、注意すべき点を見いだして頂けるのではないかと思います。
 ご不明な点は、お近くの弁護士にご相談ください^^ kik(当ブログはペイレス・イメージズから写真の提供を受けています。)

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